学校が夏休みに入ったある日、私と由美ちゃんは学校に来ていた。
こんな田舎では、遊ぶところと言えば山と川と、学校くらいしかない。
今日は校庭とボールが借りられる日だったので遊びに来たのだ。
しばらく遊び、汗だくになった私たちは水道へに向かった。
「あー、喉渇いた」
「今日も暑いね」
水道から流れる水はぬるかったが、からからの喉にはちょうど良く流れていった。
お腹がふくれるほど水を飲んだ私たちは、木陰に入って涼むことにした。
こんな田舎では、遊ぶところと言えば山と川と、学校くらいしかない。
今日は校庭とボールが借りられる日だったので遊びに来たのだ。
しばらく遊び、汗だくになった私たちは水道へに向かった。
「あー、喉渇いた」
「今日も暑いね」
水道から流れる水はぬるかったが、からからの喉にはちょうど良く流れていった。
お腹がふくれるほど水を飲んだ私たちは、木陰に入って涼むことにした。
「もうすぐ夏祭りだね、由美ちゃん」
「うん、楽しみ」
「そういえば、お祭りの後で肝試しやるって言ってたよ」
「えー、私やだな。怖いもん」
由美ちゃんはとても嫌そうな顔でうつむく。本当にお化けは苦手みたいだ。
「おばけなんかいないよ。見たことないもん」
「いるかいないか分からないから怖いんだよ、見えてないだけでそばにいたりしたら怖いよ……」
本当に怖がる由美ちゃんが可愛いかった。
「ね、おトイレ行きたい」
「あ、私も」
水をたっぷり飲んだ私たちは、同じくらいに尿意を催した。
日が傾き始めた校庭をテクテクと歩き、あのトイレに向かう。
銛の木陰で隠されたそのトイレは、夕闇に紛れてなんだか不気味な感じだった。
「なんだか、お化けが居そうだよね」
「や、やめてよっ」
由美ちゃんが私の腕を握る。思った通りの反応で面白い。
「今日はチビっちゃだめだよ?」
「もうっ知らないっ」
由美ちゃんが私を置いてトイレへ走り出した。
ちょっとやり過ぎたかなと反省して、由美ちゃんを追いかける。
トイレの個室に入ってしまうかと思ったが、なぜか由美ちゃんはトイレのドアの前でおろおろしていた。
「だ、誰かいますか?」
ドンドン!
由美ちゃんがドアを叩く。しかし、その向こうからはなんの音も帰ってこない。人の気配もないのに、カギは閉まったままだ。
「どうしよう、ドアが壊れてるみたい……」
「もしかして、他の個室も?」
由美ちゃんは涙目でうなずく。両手はあそこを押さえ、膝をこすりあわせている。
「うーん、よく分からないけど仕方ないよ。今なら誰もいないし、そのへんでしよ?」
「うん……」
切羽詰まった様子の由美ちゃんの手を引き、トイレから出ようとする。
しかしトイレの出口には一人の女の子が立っていた。
「ここのトイレ壊れてるよ、外に出たいからそこどいて」
たぶん見た目は私と同い年くらい。どいて貰おうと声をかけたけれど、その女の子は笑うだけだ。
「ダメよ、おしっこはトイレでしないと」
「だから、壊れてるって言ってるでしょ!」
「ダーメ」
女の子がすっと腕を上げ、由美ちゃんを指さした。
そして、パチンッと指を鳴らす。
「えっ、あっ、嘘、だめっ!」
由美ちゃんが突然膝からくずおれる。
膝建ちでぴっちりとくっつけた太ももの間から、やがて小さな水音が聞こえだした。
ショロロロロロロロロロロ……
うす黄色の液体が、ショーツを濡らし、太ももの間を通り、膝の先からコンクリートの床に広がっていく。
「なんで……急に……」
由美ちゃんの片手はいまだあそこを押さえ、もう片方の手は涙をためた顔を隠していた。
「今……由美ちゃんに何をしたのよっ!」
「うふふ、ねえ、あなたは自分の心配はしなくていいの?」
女の子は代わらない笑みで私に問いかける。
あいにく私はそれほどトイレが近い方では……えっ?
少女の指先が私のお腹へ向く。その途端、尿意がぐんぐんと増していく。
「やだっ、おしっこ出るっ――!」
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