「もう。大きくなったんだから気をつけなさいよ」
私は冷たいパジャマのまま、畳に正座していた。
乾き始めたズボンからは、嫌なトイレの臭いが立ち上りだしている。
一刻も早く脱ぎ捨ててしまいたかったが、お母さんが布団を干すまではこの姿勢でいなくちゃならない。
そう、お母さんは私を叱りながら、私のおねしょ布団を干していた。
私はそれを眺めながら、朝のことを思い出す。
私は冷たいパジャマのまま、畳に正座していた。
乾き始めたズボンからは、嫌なトイレの臭いが立ち上りだしている。
一刻も早く脱ぎ捨ててしまいたかったが、お母さんが布団を干すまではこの姿勢でいなくちゃならない。
そう、お母さんは私を叱りながら、私のおねしょ布団を干していた。
私はそれを眺めながら、朝のことを思い出す。
――夏の朝日が山の向こうから持ち上がり、縁側から私の体と布団を照らし始める。
まどろんだ頭で寝返りをうち、タオルケットを引き寄せる。
まだ起きるには早すぎる。
薄明るくなり始めた庭を薄目で見た私は、もう一眠りすると決めた。
そんなとき、むずむずとあそこがうずく。
ああ、おしっこしたい。
でも布団からは出たくない。
おしっこは気持ちいい。
布団は気持ちいい。
ああ――。
プシュッ
その音は、どこから聞こえたのだろうか。
寝ぼけた私の耳に、どこからとも無く水音が聞こえる。
シュウウウウウウ……
音は私の足もと、いや、もう少し上から。
じんわりと布団が暖かくなり、パジャマや布団が肌に張り付く。
そしてその感覚で、私は意識を取り戻す。
「嘘っ!」
完全に起きた私は布団から跳ね起きる。
つかみ上げたタオルケットには、濡れた感触。
そして、べたべたになった布団、パジャマ、パンツ。
原因は、信じられないことに私のおねしょだった。
いや、起きていたのにおねしょだなんて……
「まったく、おねしょなんて小学校に入る前に卒業したでしょうに」
お母さんのイライラはまだ収まらない。
私はそろそろ足や、あそこが痒くなってきた。
正座の体勢をとりながら、どうしてもムズムズと体を動かしてしまう。
「あ、の、お母さん。あそこが痒い……」
「はあ、しょうがない子ね。お風呂で流してらっしゃい。ついでにパジャマも自分で洗うのよ」
「はぁい」
そう返事をして、お風呂へ向かった。
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