がに股で歩く由美ちゃんの手を引いて、私は保健室にやってきた。
古びた木戸を開けると、嗅ぎ慣れない消毒薬の匂いがする。
「いらっしゃい。どうしたの?」
私たちを優しく迎えてくれたのは、保険の山口先生だった。
去年私たちの学校に着たばかりの山口先生は、若くて綺麗な先生だ。
いつも長いスカートを穿いて、コートのような白衣を着ている。
古びた木戸を開けると、嗅ぎ慣れない消毒薬の匂いがする。
「いらっしゃい。どうしたの?」
私たちを優しく迎えてくれたのは、保険の山口先生だった。
去年私たちの学校に着たばかりの山口先生は、若くて綺麗な先生だ。
いつも長いスカートを穿いて、コートのような白衣を着ている。
「あの、えっと……」
口ごもる由美ちゃんを見かねて、私はそっと先生の耳元に囁いた。
「トイレが遠いんだもの、仕方ないわ」
先生はやさしくそう言うと、奥の戸棚からショーツを1枚取りだした。
私が幼稚園の頃に見ていたアニメのキャラクターがお尻にプリントされている。
「こんなのしかないけど、ごめんね。すぐにはき替えましょう」
私が扉を閉めると、由美ちゃんはズボンを脱ぎだした。
「あら、そんなに大したことはないわね。ズボンが無事でよかった」
先生はズボンを軽く畳んで近くのベッドに置くと、
由美ちゃんのショーツを一気に下ろした。
「きゃっ」
悲鳴を上げる由美ちゃんをよそに、先生はショーツをチェックする。
「うふふ、クロッチの所に可愛いシミがついてる。これは洗っといてあげるわ」
「あ、ありがとうございます」
そのショーツをバケツに入れた先生は、ウェットティッシュの箱を取り出した。
「さあ、拭いてあげるからベッドに寝てちょうだい」
「さっきちゃんとトイレで拭きました……」
「ダメよ、また汚れたショーツを穿いちゃったんだから。しっかり拭かないと」
顔を真っ赤にした由美ちゃんは下半身裸のまま、ベッドの上に寝転んだ。
「はい、あんよを開いて」
まるで赤ちゃんに接するように、先生は由美ちゃんに声をかける。
由美ちゃんは真っ赤な顔を手で覆って足を開いた。
「キレイキレイしますよー」
先生が手に持ったウェットティッシュで由美ちゃんのあそこを拭っていく。
わたしはその光景をじっと眺めていた。
(なんだろう、この気持ち。きゅんってする……)
「綺麗になったわ。じゃあ、このショーツ穿いてね」
「あの、先生……私、おしっこしたくなっちゃった……」
「あらあら、刺激されちゃったからかしらね。拭いたばかりなのに、仕方ない子」
ベッドから降りた由美ちゃんに、先生はさっきのバケツを手渡した。
「ここでしちゃいなさい。トイレまではまた遠いんだから」
「あう、あ、はい……」
消え入りそうな声で由美ちゃんはバケツを受け取ると、その上にまたがった。
ジョロ、ババババババババ……
ブリキ製のバケツが盛大な音を立てる。
おしっこはすぐに終わった。
「はい、今度は自分でできるわね」
先生は由美ちゃんにウェットティッシュとショーツを手渡した。
「花子ちゃんでも見ちゃったのかしら」
ズボンをはき直す由美ちゃんを横目に、先生がつぶやいた。
「花子ちゃんって?」
私が聞き返すと、先生が答えてくれる。
「あら、知らない?この学校に伝わるユーレイよ」
「えっ!?」
由美ちゃんが悲鳴のような声を上げる。
「昔ね、まだトイレがくみ取り式だった頃。
夏休みにそこに落ちて、誰にも助けられずに死んじゃった女の子がいたのよ。
その子がユーレイになったんだって」
「やだ、怖い……」
「それがね、花子ちゃんにあっても襲われるわけじゃないのよ。
おしっこを漏らしちゃうだけなんだって」
先生は明るく笑いながら言った。
「トイレが遠いせいか、たまに漏らしちゃう子はいるのよね。
その時、花子さんにあったって言えばいい言い訳になったんじゃないかしら」
私たちは種明かしを聞いたような気分でほっとして、保健室を出た。
「ね、ずっと見てたでしょ。私のこと」
由美ちゃんにそう言われて、そう言えば私がずっと
保健室にいる必要はなかったことを思い出し、2人で顔を赤くした。
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