口の中に広がるしょっぱい感触。
何とも言えない強い臭いに奈緒の目が潤む。
それでも体が求めるまま、奈緒はおしっこを体の中へと流し込んだ。
ジュッ……ゴク、ゴクッ
わずかな水分を手に入れた奈緒の体は、
あっという間にブレーキを解除した。
水筒に直接口をつけると、残ったおしっこを一気にあおる。
喉を駆け下りていくぬるい感触。
水筒をカラにした奈緒は、静かに泣いた。
それが水分の無駄だとわかっていても、止まらなかった。
やがて奈緒は消防隊の手によって救助された。
差し出された冷たい水を飲んで、おしっこに濡れた口元がやっと笑顔になった。