私は早足でトイレへと向かう。
しかし、教室から出ようとしたところで不意に腕をつかまれた。
「ねえ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
そう言って笑みを浮かべたのは私のクラスメイト、サキだった。
しかし、教室から出ようとしたところで不意に腕をつかまれた。
「ねえ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
そう言って笑みを浮かべたのは私のクラスメイト、サキだった。
「今、トイレ行くとこなんだけど、歩きながらでいい?」
「うん」
私の問いかけにサキが答える。
「それで、話って何よ」
騒々しい廊下の端を二人で歩く。
「ねえ、今日は生理なの?ハンドバッグなんか持って」
「何でそんなこと、あなたに教えなきゃいけないのよ」
サキという少女は、同じクラスにいながらも私とはあまり接点がなかった。
と言うよりも、他の生徒との関わりをあまり持っていなかった。
特に嫌われるようなこともしていないが、
自分からコミュニティに入るのを避けているようなフシがあった。
サキは爽やかな笑みを崩さない。
「別に、そのバッグの中身が気になっただけだよ」
その言葉に私はどきりとする。
気づかれているのだろうか、しかし平然な雰囲気を装う。
「女子がトイレに持って行くんだから、中身は決まってるでしょ」
「フフフ、そうね」
そう言ってサキは話すのをやめた。
彼女は私に何を聞きたかったというのだろうか。
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